閉館前に行きたい!帝国劇場の魅力とクロージングラインナップ特集
日本のミュージカル界をリードする帝国劇場が、2025年に一時閉館となります。
「レ・ミゼラブル」や「Endless SHOCK」など、これまで数多くの名作ミュージカルを上演してきた帝国劇場。
今回は、そんな帝劇のクロージングについて、劇場の魅力を紹介しながらまとめてみました。
閉館前に上演される公演ラインナップも紹介していますので、ぜひご覧ください!
■帝劇クロージングについて
東京・千代田区にある帝国劇場は、劇場が入るビルの老朽化による建て替えのため、2025年2月に一時休館となります。
現在の帝国劇場が竣工したのは1966年。
2代目の帝劇として、半世紀にわたりミュージカルや演劇作品を上演してきました。
帝劇ビルと、隣接する国際ビルは、建て替え工事によって防災対応機能の強化、脱炭素社会へ向けた取り組みなどを取り入れるそうです。
3代目となる新帝国劇場の再開場の日程は、まだ発表されていません。
■帝国劇場とはどんな劇場か
クロージングが発表され、改めて注目を集めている帝国劇場。
劇場の歴史や特徴を、わかりやすくご紹介します。
◆帝国劇場の歴史
初代の帝国劇場が開場したのは、明治末期の1911年。
日本初の本格的な洋式劇場として創立し、国内外を問わず優れた芸能・演劇作品を上演するだけではなく、劇場専属女優の育成も行われました。
阪急阪神東宝グループの創始者である実業家の小林一三が日比谷に劇場や映画館が集まるエンタメの街を作ると、1937年から帝国劇場は、現在の東宝株式会社が運営するようになります。
初代の劇場が老朽化などにより、一時閉場。1966年に再開場し、現在の帝劇に至ります。
◆美術鑑賞ができる劇場ロビー
【ミュージカルの殿堂 知られざる建築美】
東京・丸の内「#帝国劇場」
演劇人 #菊田一夫 の情熱と建築家 #谷口吉郎 の驚くべきこだわりとは。#鹿賀丈史 さんが語る帝劇。#円谷英二 撮影の幻のフィルムも大公開!1月13日(土)夜10時
テレビ東京系列にて放送🌈#田中道子 #長塚圭史 #新美の巨人たち pic.twitter.com/HcJNHL20N9— 新美の巨人たち (@binokyojintachi) January 6, 2024
出典:テレビ東京系列『新 美の巨人たち』公式Xアカウント
帝国劇場のロビーに入ると目に飛び込んで来るのが、美しい美術品の数々です。
劇場そのものの建築日も美しく、2024年1月13日に放送されたテレビ東京系列『新 美の巨人たち』でも特集されました。
ステンドグラスと一部のオブジェは、三越の包装紙をデザインした洋画家の猪熊弦一郎の作品。
舞台の開演前に、赤い絨毯が敷かれたロビーで美術品を眺めながら寛ぐのも劇場に行く醍醐味です。
たいてい、劇場の開場は舞台上演の30分ほど前からですが、帝国劇場は開演の一時間前から入場できます。
ロビーではドリンクや名物のたまごサンドなどの軽食が売られた売店もあり、劇場に入るだけで、既に特別な気分になれるのです。
◆人気ミュージカルを多数上演、過去には映画も!
帝国劇場といえば、日本のミュージカル界を盛り上げる立役者的な存在の劇場です。
上映される代表的な作品といえば、やはり海外発ミュージカルのイメージが強いですよね。
「レ・ミゼラブル」、「エリザベート」、「ミス・サイゴン」など、海外の名作ミュージカルの殆どが帝国劇場から国内へと普及しました。
また「SHOCK」シリーズのような、魅力的で真新しい国内発のオリジナルミュージカルを上映しているのも特徴の1つです。
最近では舞台「千と千尋の神隠し」がロンドンで上演され、帝劇から海外へ発信される作品も登場しました。
1950年代には、当時はまだ珍しいワイドスクリーンで映写する映画シネラマの上映も行っていたのだとか!
帝国劇場は、昔も今も日本のエンターテイメントの先駆けです。
■帝劇クロージングラインナップ今後の上演作品
2024年から2025年2月まで、帝国劇場では「帝国劇場クロージングラインナップ」として様々なミュージカルやコンサートの上演が決定しています。
上演されるのは、帝劇から発信された演劇史に名を刻む名作、そして話題性と意欲にあふれた新作と、2代目劇場の歴史を締めくくるのに相応しい作品ばかりです。
2024年5月現在で上演されている作品と、夏に公演を予定している作品のラインナップをご紹介します!
◆「Endless SHOCK」
出典:東宝演劇公式YouTubeチャンネル
帝国劇場で2000年から上演されている「SHOCK」シリーズは、堂本光一さんが単独主演を務めるミュージカル作品。
2005年から「Endless SHOCK」として内容が一新され、堂本光一さんは脚本・演出・音楽も手掛けています。
舞台人のポリシーである「Show must go on」をテーマにしたストーリー、そして階段落ちやフライングといった派手で臨場感のある演出が、色あせることのない感動を与えてくれる人気作です。
2024年5月4日には公演回数2018回目を達成し、本作で堂本さんは国内演劇の単独主演回数1位を記録しました!
「Endless SHOCK」の公演中は、帝劇の外観に作品のデコレーションが施されています。
【「Endless SHOCK」帝国劇場での上演期間】
2024年4月11日~5月31日
◆「ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル」
出典:東宝演劇公式YouTubeチャンネル
「ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル」は昨年の夏に帝劇で日本初上演され、大きな話題を呼びました。
原作は、ニコール・キッドマンとユアン・マクレガーが主演したミュージカル映画。
19世紀末のパリを舞台に、実在するキャバレーで繰り広げられる作家の青年とショーダンサーのラブストーリーを描いています。
ミュージカルシーンで披露されるのは、エルトン・ジョンやマドンナなど、20世紀を代表するポップミュージック。
日本版の公演では松任谷由実さん、ヒャダインさんといった日本人アーティストたちが、それぞれの曲の訳詞を担当しています。
まるで帝劇が本物のキャバレーになったかのような豪華な舞台セットと、観客とステージが一緒に盛り上がれる熱いパフォーマンスに注目です。
【「ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル」
帝国劇場での上演期間】
2024年6月20日〜8月7日
◆ミュージカル「モーツァルト!」
出典:東宝演劇公式YouTubeチャンネル
天才音楽・モーツァルトの生涯を時に重厚に、時に人間らしく描いたミュージカル「モーツァルト!」は、帝劇で2002年から上演されている劇場を代表する作品の一つです。
「エリザベート」でも知られるミュージカル音楽のゴールデンコンビ、ミヒャエル・クンツェとシルベスター・リーヴァイによる美しい音楽も人気を博しています。
上演されるのは、約3年ぶり。
かつて帝劇で観たことがある方も、作品の存在は知っていても実際に観たことがないという方も、現存する劇場でのラスト公演は見逃せないのではないでしょうか?
【ミュージカル「モーツァルト!」帝国劇場での上演期間】
2024年8月19日〜9月29日
◆ミュージカル「DREAM BOYS」
出典:東宝演劇公式YouTubeチャンネル
ミュージカル「DREAM BOYS」は、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)のタレントが多数出演するミュージカル。
作品の歴史は約20年と長く、その前身は、2004年に帝劇の最年少座長を務めた滝沢秀明さんが主演したミュージカル「DREAM BOY」です。
ボクシングをテーマとした幅広い年代が楽しめるストーリーと、客席上でのフライングなどアクロバティックな演出が人気を集めています。
【ミュージカル「DREAM BOYS」帝国劇場での上演期間】
2024年10月開幕 ※2024年5月現在、上演スケジュールの詳細は未発表です。
◆「レ・ミゼラブル」
出典:東宝演劇公式YouTubeチャンネル
2代目帝国劇場で最後に上演されるミュージカルは、老若男女問わず愛される普及の名作「レ・ミゼラブル」です。
19世紀初頭にフランスで起きた革命と人々の生活、恋模様を壮大に描いた作品。
1987年に帝劇で日本公演の初演を迎えると瞬く間に大ヒットし、これまでの公演回数は、東宝演劇作品の中で史上最多の3,459回を記録しています。
まさに帝劇の最後を締めくくるに相応しいミュージカルの金字塔。
2024年5月現在は公演の時期しかまだ発表されておらず、誰が出演するのかも気になるところです。
【ミュージカル「レ・ミゼラブル」帝国劇場での上演期間】
2024年12月〜2025年2月 ※2024年5月現在、上演スケジュールの詳細は未発表です。
◆「CONCERT『THE BEST ~New HISTORY COMING~』」
クロージングラインナップの最終公演は、CONCERT『THE BEST ~New HISTORY COMING~』。
現・帝国劇場でこれまで上演された作品の音楽、出演したキャストが集まり、未来に光が差すような新たな帝劇の歴史へバトンを繋ぐコンサートが開催される予定です。
【CONCERT『THE BEST ~New HISTORY COMING~』帝国劇場での上演期間】
2025年2月 ※2024年5月現在、上演スケジュールの詳細は未発表です。
■まとめ
現・帝国劇場の歴史と魅力、そしてクロージングラインナップとして上演される作品を紹介しました。
帝劇を訪れたことがある人なら、誰しも思い出の作品や忘れられない作品があるはず。
筆者も現・帝劇で初めて「レ・ミゼラブル」や「エリザベート」を観たときの衝撃と感動は、5年以上経った今でも鮮明に覚えています・・・!
クロージングラインナップに上演されるのは魅力的な作品ばかりですので、今の帝劇が閉館する前に、皆さんも劇場へ行ってみてはいかがでしょうか?
ミュージカル、演劇鑑賞が大好きなハピエルライターによる記事です。
2022年よりエンタメハピエルの記事を執筆しています。
劇団四季、宝塚歌劇を時々見に行っています。
関東在住ライター、関西在住ライターがリモートワークで執筆しています